水車すいしやのある教会きようかい (The church with an over-shot wheel 和訳)

オー・ヘンリー(O Henry)さく・横田祐 やく

レイクランドは流行(はやり)避暑地(ひしよち)のカタログに()つていない。 それはクリンチ川の支流(しりゆう)(なが)れる、カンハ゛ーランド山脈(さんみやく)高原(こうげん)にある。 レイクランドは2ダースの家々(いえいえ)からなる幸せな村である。 その村には(さひ゛)れた狭軌(きようき)鉄道(てつどう)がある。 あなたは「鉄道が途切(とぎ)れた先に(まつ)があり、恐怖(きようふ)孤独(こどく)からレイクランドへ(つう)ずるのだろうか?または()()を家に(かえ)らせるために、レイクランドが無くなり、ひつそりと鉄道のそは゛で(ひと)()ちるのだろうか?」と思う。

あなたはもう一度「なぜ、そこがレイクランドと()は゛れるのか?」と思うだろう。 池(lake)など()いし、土地(land)という()にし()わないほど()せている。

村から半マイル行けは゛、古く大きな家「(わし)の家」が立つている。 ジヨサイア・ランキンが宿泊(しゆくはく)施設(しせつ)である(わし)の家を安い料金(りようきん)運営(うんえい)している。 その訪問者(ほうもんしや)は山の空気を(もと)める。 (わし)の家は微笑(ほほえ)ましいほど管理(かんり)がずさんである。 というのも、近代(きんだい)合理化(ごうりか)を求めず、完全(かんぜん)古風(こふう)であり、完全に心地(ここち)よいほど無視(むし)され、 (よろこ)は゛しいほど()らかつていて、あなたの家のようである。 しかし、きれいな部屋があてがわれ、良い十分(じゆうふ゛ん)な食事が(あた)えられる。 その(かんが)えは「(のこ)りはあなた自身(じしん)(まつ)(おぎな)う。」である。 自然(しぜん)鉱泉(こうせん)とふ゛どう(づる)のフ゛ランコとゲートホ゛ールを提供(ていきよう)する。 ゲートは木製(もくせい)だけれども。 あなたは(しゆう)に二度、簡素(かんそ)仮設(かせつ)舞踏会(ふ゛とうかい)でハ゛イオリンとギターが(かな)でる音楽という芸術(げいじゆつ)作品(さくひん)を手にする。

(わし)の家のお得意(とくい)さんは必要(ひつよう)(たの)しみと(よろこ)ひ゛を(もと)める。 彼らは(いそが)しい人々(ひとひ゛と)であり、歯車(はぐるま)一年中(いちねんじゆう)(まわ)るよう二週間(にしゆうかん)(ごと)()くへ゛き時計に()ている。 あなたは低地(ていち)の町の学生を見つけるだろう。 しは゛しは゛、芸術家(げいじゆつか)(おか)太古(たいこ)地層(ちそう)理解(りかい)しようと躍起(やつき)になつた地質学者(ちしつがくしや)も。 少数(しようすう)(しず)かな家族がそこで夏を()ごす。 そして、頻繁(ひんは゜ん)(つか)れた我慢(がまん)強い修道女(しゆうどうじよ)一人か二人。 彼らはレイクランド(じゆう)でお(かた)い女と知られている。

(わし)の家がカタログを発行(はつこう)すれは゛、(わし)の家から4分の1マイル(はな)れた(ところ)に 「興味深(きようみふ゛か)物体(ふ゛つたい)」と(きやく)説明(せつめい)するであろう物がある。 これは使われなくなつた古い古い(こな)()(じよ)である。 ジヨサイア・ランキンの言葉(ことは゛)によれは゛、それはアメリカで上射式(じようしやしき)水車(すいしや)を持つ唯一(ゆいいつ)教会(きようかい)であり、 世界でヘ゛ンチとハ゜イフ゜オルガンを持つ唯一(ゆいいつ)の粉挽き所である。 毎週(まいしゆう)日曜日に(わし)の家の客が古い粉挽き教会に出席(しゆつせき)し、(けが)れなきキリスト教徒(きようと)のような牧師(ほ゛くし)が話す 経験(けいけん)苦痛(くつう)石臼(いしうす)()かれた有益(ゆうえき)な話、(また)()らは゛つた小麦粉の地面*を聞いた。 *訳注(やくちゆう):トートロジー(同語(どうご)反復(はんふ゜く))である。

毎年(まいとし)初秋(しよしゆう)になると(わし)の家に来るエイフ゛ラム・ストロング。 彼は(しは゛ら)名誉(めいよ)ある愛される客になつた。 レイクランドで彼はエイフ゛ラム神父(しんふ゜)()は゛れた。 何故(なぜ)なら彼の(かみ)が真つ白で、彼の顔は赤く、彼の笑いは幸せそうで、彼は黒い服と広い帽子(ほ゛うし)を身に付け、 そんな外観(がいかん)が神父のようであつたから。 彼と知り合つて3、4日()つた新しい客でさえ、彼にこの(した)しい称号(しようごう)(あた)えた。

エイフ゛ラム神父は長い道のりを(とお)つて、レイクランドへ来た。 彼は北西にある大きく喧騒(けんそう)な町で住んでいた。 そこで彼は複数(ふくすう)の粉挽き所、と言つてもヘ゛ンチとオルガンの無い大きな粉挽き所、を持つていた。 つまり、大きく(みにく)い山のような粉挽き所で貨物(かもつ)列車(れつしや)が一日中蟻塚(ありづか)の周りの(あり)のように動き回つた。 そして今、(から)み合う二筋(ふたすじ)物語(ものがたり)であるエイフ゛ラム神父と粉挽き所だつた教会が(かた)られる。

教会が粉挽き所だつた日々(ひひ゛)に、ストロング()は粉挽き屋だつた。 国中(くにじゆう)で彼より(たの)しく粉まみれで(いそが)しく幸せな粉挽き屋は()なかつた。 彼は粉挽き所から道を(はさ)んだ小さな田舎(いなか)の家で住んでいた。 彼の手は(おも)く、しかし彼の()(ちん)は安く、そして山を登つて長い岩の道を通り穀物(こくもつ)を彼に(とど)ける人が()た。

粉挽き屋の大きな(よろこ)ひ゛は彼の小さな(むすめ)、アグレイアだつた。 それはとても良い名前で、実際(じつさい)、フ゛ロンドのヨチヨチ歩く子供で、しかし、 登山者達(とざんしやたち)心地(ここち)よい(ひひ゛)きの印象的(いんしようてき)な名前を愛した。 母は本の中でそれを見つけ、良くも悪くも名付(なづ)けた。 アグレイアの赤ちやん時代(じだい)に、一般的(いつは゜んてき)使(つか)われるので彼女は彼女の名前を(いや)がつて、 彼女自身(じしん)を「ダムス」と()ふ゛(こと)にこだわつた。 粉挽き屋と彼の(つま)頻繁(ひんは゜ん)にアグレイアから不思議(ふしぎ)な名前の出所(でどころ)を聞き出そうと(こころ)みたが、失敗(しつは゜い)した。 ついに彼らは理論(りろん)(たつ)した。 田舎(いなか)の家の(うら)の小さな(にわ)でしやくなげ(ロードデンドラン)の花壇(かだん)があり、子供が奇妙(きみよう)(よろこ)ひ゛と興味(きようみ)()つて()けた。 それが彼女の好きな花の印象的な名前をめぐる家族の(まじ)わり、「ダムス」を考えた彼女の経緯(けいい)だつた。

アグレイアが四歳の時、彼女の父は粉挽き所で毎夕(まいゆう)小さな行進(こうしん)(おこな)つた。 それは天気の(ゆる)(かぎ)り行われた。 夕食が準備(じゆんひ゛)されたら彼女の母は彼女の(かみ)をフ゛ラシで()き、きれいなエフ゜ロンを着せ、 父を()ふ゛(ため)に彼女を粉挽き所へ行かせた。 粉挽き屋が粉挽き所の(とひ゛ら)から入つてくる彼女を見れは゛外に出て、小麦粉の(ちり)で真つ白になり、 彼の手を()り古い粉挽き屋の歌を歌つた。 彼はその部分(ふ゛ふ゛ん)(くわ)しく、それは次のようであつた。

「水車が回る。
麦粉(むぎこ)が落ちる。
粉に(まみ)れた粉挽き屋は幸せだ。
彼は一日中歌う。
彼の仕事は遊ひ゛だ。
(いと)しいあの子を思えは゛。」

そしてアグレイアは笑いながら彼の(もと)()()り、こう()んだ。

「父ちやん。ダムスをお(うち)()れてつて。」そして、粉挽き屋は彼女を(かた)()せ、 粉挽き屋の(うた)を歌いながら夕食に行進した。 毎夕(まいゆう)これが行われるはずだつた。

ある日、彼女の四歳の誕生日(たんじようひ゛)から一週間()つた日、アグレイアが()えた。 最後(さいご)に見た時、彼女は田舎屋(いなかや)の前の道端(みちは゛た)野花(のは゛な)()つていた。 少し()つて、彼女が(あま)(とお)くへ行かないよう注意(ちゆうい)する(ため)に、彼女の母が外に出たら、彼女は(すで)()なかつた。

もちろん、彼女を見つける(ため)に、あらゆる努力(どりよく)(はら)われた。 近所(きんじよ)(あつ)まり森や山を(すう)マイルに(わた)つて(さが)した。 粉挽き屋の為に、彼らは(きそ)(よう)に足を引きずり、黙々(もくもく)長距離(ちようきより)を歩いた。 彼らは彼女の足取(あしど)りをつかめなかつた。 一晩(ひとは゛ん)二晩前(ふたは゛んまえ)、ジフ゜シーの家族が付近(ふきん)の道で野宿(のじゆく)した。 彼らが子供をさらつたと推測(すいそく)された。 彼らの馬車(は゛しや)に追い付き調(しら)へ゛たが、彼女は見付(みつ)からなかつた。

粉挽き屋は2年粉挽き所に(とど)まつた。 そして彼女を見つける彼の(のぞ)みは(つい)えた。 彼と彼の妻は北西(ほくせい)()()した。 数年後(すうねんご)、彼は大きな粉挽き屋の多いその地域(ちいき)近代的(きんだいてき)な粉挽き所の所有者(しよゆうしや)()つた。 ストロング夫人(ふじん)はアグレイアを(うしな)つたシヨツクから()(なお)れずに、二年後粉挽き屋だけ(のこ)した。 彼は一人(ひとり)(くる)しみを引きずる為に、残された。

エイフ゛ラム・ストロングが成功(せいこう)した時、彼はレイクランド、特に古い粉挽き所を(おとず)れた。 その光景(こうけい)は彼を悲しませたが、彼は強い人で、いつも人を(はげ)まし親切(しんせつ)にした。 その時、彼は古い粉挽き所を教会(きようかい)()える(こと)を思いついた。 レイクランドは教会を()てる(ため)貧乏(ひ゛んほ゛う)()ぎた。 そして登山者達(とざんしやたち)補助(ほじよ)できない(ほど)貧乏(ひ゛んほ゛う)だつた。 20マイル四方(しほう)礼拝所(れいはいじよ)()かつた。

粉挽き屋は粉挽き所の外観(がいかん)可能(かのう)(かぎ)()えた。 大きな上射式(じようしやしき)水車(すいしや)(もと)場所(は゛しよ)(のこ)された。 教会を(おとず)れた若い人々は彼らの頭文字(かしらもじ)(やわ)らかく古ひ゛た木に(きざ)んだ。 (せき)一部(いちふ゛)(こわ)れ、透明(とうめい)山水(さんすい)波打(なみう)ち、は゛らは゛らに岩床(がんしよう)(そそ)いだ。 粉挽き所の(なか)はもつと()わつた。 水車(すいしや)(じく)(うす)、ヘ゛ルトとフ゜ーリーはもちろん()(はず)された。 二列のヘ゛ンチが通路(つうろ)(はさ)んであり、一端(いつたん)には少し高くなつた教壇(きようだん)説教(せつきよう)(づくえ)があつた。 (ほか)(はし)3つに(そな)()けられたものは聴衆席(ちようしゆうせき)、そして内側(うちがわ)階段(かいだん)だつた。 古い粉挽き教会の信徒(しんと)(ほこ)るオルガン(本物のハ゜イフ゜・オルガン)も聴衆席にあつた。 フイーヒ゛ー(じよう)はオルガン奏者(そうしや)だつた。 レイクランドの男子は日曜のミサで彼女の為にホ゜ンフ゜を()み、自慢(じまん)した。 ハ゛ンフ゛リツジ牧師(ほ゛くし)洗礼者(せんれいしや)だつた。そして()かさず彼のリスの(とうげ)から古い馬に(またが)つて来た。 そしてエイフ゛ラム・ストロングは(すへ゛)てに(はら)つた。 彼は洗礼者に年額(ねんがく)を500ドル払い、フイーヒ゛ー(じよう)に200ドル払つた。

このように、アグレイアの記憶(きおく)で、彼女がかつて()んだ古い粉挽き所は共同体(きようどうたい)祝福(しゆくふく)する建物(たてもの)に変えられた。 (みじか)い子供の人生(じんせい)十年(じゆうねん)良いものを3倍以上(は゛いいじよう)もたらした。 しかし、エイフ゛ラム・ストロングは彼女の記憶の為に記念碑(きねんひ)をもう一つ()てた。

北西(ほくせい)にある彼の粉挽き所から、アグレイア小麦粉が()()された。 それは、その(とし)にできた(もつと)(かた)高品質(こうひんしつ)の小麦から作られる。 国中(くにじゆう)人々(ひとひ゛と)はアグレイア小麦に価格(かかく)が二つあることをすぐに()つた。 一方(いつほ゜う)市場(しじよう)(もつと)高価(こうか)で、他方(たほう)(ただ)だつた。

どこであつても、人々を大変(たいへん)(こま)らせる大災害(だいさいがい)(火災(かさい)飢饉(ききん)竜巻(たつまき)、ストライキ、大飢饉(だいききん))が()これは゛、 (いそ)いで無料(むりよう)でアグレイアの善意(ぜんい)荷物(にもつ)(とど)いた。 それは注意深(ちゆういふ゛か)適切(てきせつ)(とど)けられた。しかし、無料(むりよう)であつた。 ()えた人々が1ヘ゜ニー(はら)うことを(ゆる)さなかつた。 「大きな火事(かじ)都市(とし)貧乏(ひ゛んほ゛う)地域(ちいき)で起これは゛、()消防(しようほ゛う)隊長(たいちよう)馬車(は゛しや)がそこに着き、 (つづ)いてアグレイア小麦粉の馬車が着く。そして消防車。」と言われる(よう)になつた。

だから、これはアグレイアにエイフ゛ラム・ストロングの記念碑(きねんひ)だつた。 (おそ)らく、詩人(しじん)はこのテーマを小説(しようせつ)じみて(うつく)しいと思うだろう。 しかし、幾分(いくふ゛ん)華美(かひ゛)(あま)素晴(すは゛)らしいものに見えるだろう。 つまり、純粋(じゆんすい)で白く若い花で、愛と善意(ぜんい)という仕事(しごと)実行(じつこう)していて、記憶(きおく)が知らせる()くした子の(れい)()かれるであろう。

カンハ゛ーランドに(きひ゛)しい年がやつて来た。 穀物(こくもつ)収穫(しゆうかく)がどこも少なく、黒麦(くろむぎ)さえ取れなかつた。 山の洪水(こうずい)(たくわ)えをだめにした。 林の()りさえ少なく、獲物(えもの)()くご飯がお(あず)けになつた。 (とく)にレイクランドは深刻(しんこく)だつた。

エイフ゛ラム・ストロングがこれを聞いて、すぐに彼の号令(ごうれい)()んだ。 そして、小さな狭軌(きようき)鉄道の列車がアグレイア小麦粉をそこへ()ろし(はじ)めた。 粉挽き屋の命令(めいれい)は「小麦粉を古い粉挽き教会の聴衆席(ちようしゆうせき)(たくわ)えろ。」だつた。 そして、教会に出席(しゆつせき)した全ての人が一袋(ひとふくろ)持つて帰つた。

2週間後、毎年(まいとし)(よう)にエイフ゛ラム・ストロングが鷲の家を(おとず)れ、(ふたた)ひ゛エイフ゛ラム神父になつた。

その季節(きせつ)は鷲の家に客が少ない。 彼らは一人ローズ・チエスターだつた。 チエスター(じよう)はアトランタからレイクランドへ来た。 彼女はアトランタの百貨店(ひやつかてん)(はたら)いていた。 今回(こんかい)が彼女の生涯(しようがい)(はじ)めての休暇(きゆうか)だつた。 店主(てんしゆ)(つま)がひと夏を鷲の家で過ごした。 彼女がローズにそこが良かつたと語り、3週間の彼女の休暇にそこへ行くよう(すす)めた。 店主の妻はランキン夫人(ふじん)手紙(てがみ)()て、ランキン夫人は(よろこ)んで彼女の(ちから)気遣(きづか)いでローズを(むか)えた。

チエスター嬢は健康面(けんこうめん)問題(もんだい)(かか)えていた。 彼女は20(さい)くらいで、顔が青く、長い室内(しつない)生活(せいかつ)から気弱(きよわ)だつた。 しかし、レイクランドで1週間()ごすと、(あか)るさと明朗(めいろう)精神(せいしん)(もど)つた。 その時は9月の(はじ)めで、カンハ゛ーランドが(もつと)(うつく)しい。 山の葉が秋の色に(かがや)きを()す。 吐息(といき)がシヤンハ゜ンで、夜は(つめ)たく()()つていて、 鷲の家の(あたた)かい毛布(もうふ)の下で(だん)をとる為に(うで)()ませた。

エイフ゛ラム神父とチエスター嬢は親友(しんゆう)になつた。 年老(としお)いた粉挽き屋は彼女の()上話(うえは゛なし)をランキン夫人(ふじん)から(まな)んだ。 そして、すぐに彼の興味(きようみ)は、この世界で自分(じふ゛ん)の道を()(ひら)いている(ほそ)孤独(こどく)な女の子に()いた。

山の田舎(いなか)はチエスター嬢にとつて新鮮(しんせん)だつた。 彼女は長年(ながねん)アトランタの(あたた)かい(たい)らな町で住んだ。 そして、素晴(すは゛)らしい変化(へんか)()むカンハ゛ーランドが彼女を(よろこ)は゛せた。 彼女は滞在中(たいざいちゆう)ことごとく(たの)しんでいると見受(みう)けられた。 彼女の少ないヘソクリは彼女の消費(しようひ)(とも)注意深(ちゆういふ゛か)概算(がいさん)された。 なぜなら、彼女が(はたら)(はじ)めれは゛1ヘ゜ニーが彼女の小さな出費(しゆつひ゜)になるから。

チエスター嬢はエイフ゛ラム神父という友と伴侶(はんりよ)()幸運(こううん)だつた。 彼はレイクランド付近(ふきん)の山の道と(いただき)(さか)を知つていた。 彼から彼女は啓発(けいはつ)され、神秘的(しんひ゜てき)松林(まつは゛やし)小道(こみち)の名、ごつごつした(けわ)しい坂の気楽(きらく)さ、 水晶(すいしよう)の様な灰汁(あく)の朝、神秘的な(かな)しみで(いろど)られた(ゆめ)の様な黄金(おうごん)午後(ごご)、それらの真剣(しんけん)(よろこ)ひ゛を()つた。 だから、彼女は健康的(けんこうてき)になり、彼女の気が(やわ)らいだ。 彼女はエイフ゛ラム神父の有名(ゆうめい)(わら)いに()て、友好的(ゆうこうてき)(しあわ)せそうに、そして、女性的(じよせいてき)に笑つた。 彼らは生来(せいらい)楽天家(らくてんか)だつた。そして、(おだ)やかで元気な顔を世界に見せる方法(ほうほう)を知つていた。

ある日、チエスター嬢は(きやく)の一人からエイフ゛ラム神父の(うしな)つた子供の話を聞いた。 (いそ)いで()り、鉱泉(こうせん)のそは゛でお気に入りの()ひ゛たヘ゛ンチに(すわ)つている粉挽き屋を見付けた。 小さな友が彼女の手で彼の手を(にぎ)り目に(なみだ)(たた)えていたから、彼は(おどろ)いた。

「ああ、エイフ゛ラム神父。」と彼女が言つた。 「御免(ごめん)なさい。今日まで貴方(あなた)の小さな(むすめ)について知らなかつたの。 いつか彼女を見つけますわ。ああ、そう(いの)つてますわ。」

粉挽き屋は強い(ととの)つた笑顔(えがお)で彼女を見下(みお)ろした。

「ありがとう。ローズお(じよう)さん。」彼はいつもの明るい調子(ちようし)で言つた。 「しかし、アグレイアを見つける(のぞ)みは(つい)えました。 数年間、彼女が乞食(こじき)にさらわれ、まだ生きていると思つていました。 しかし、私はその(のぞ)みを()てました。彼女が(おほ゛)れたと(しん)じています。」

「分かります。」チエスター嬢が言つた。 「どんなに疑念(ぎねん)(あつか)いづらいか。そして、まだ貴方は人の(なや)みを(かる)くできる(ほど)明るく(ととの)つている。 良きエイフ゛ラム神父様(しんふ゜さま)!」

「良きローズ嬢!」粉挽き屋が笑いながら真似(まね)た。 「(だれ)他人(たにん)を自分よりも(ふか)く考えるでしよう?」

奇妙(きみよう)雰囲気(ふんいき)がチエスター嬢を打つたようだ。

「ああ、エイフ゛ラム神父。」彼女が(さけ)んだ。 「もし私が貴方(あなた)の娘と証明(しようめい)できれは゛、素敵(すてき)ですね? そして、私を貴方の娘のように(あつか)つて()れませんか?」

「もちろん、そうするよ。」幸せそうに粉挽き屋が言つた。 「もし、アグレイアが生きていれは゛、貴方の様な小さな女性に(そだ)つてくれれは゛良いと(ねが)つています。」 彼は彼女と(とも)に幸せな調子(ちようし)(さら)(つづ)けた。 「粉挽き所で一緒(いつしよ)()らしていた事を(おほ゛)えていますか?」

チエスター嬢はすぐに(ふか)(かんが)えた。彼女の大きな目は(かす)かに()じられ(とお)(なに)かを見ている(よう)だつた。 エイフ゛ラム神父は彼女がすぐ真剣(しんけん)になるから(たの)しかつた。 彼女はそれ(ゆえ)、口を開くまで長い(あいだ)(すわ)つた。

「いいえ。」彼女は(つい)に長いため(いき)をついて言つた。 「私は粉挽き所について(まつた)(おほ゛)えていません。 私は私の人生(じんせい)で今まで小麦挽き所を見たのは、貴方の楽しい小さな教会が初めてです。 そして、もし私が貴方の小さな女の子なら、それを覚えているでしよう? ごめんなさい。エイフ゛ラム神父。」

「私もそうだ。」エイフ゛ラム神父が彼女を(なぐさ)めるように言つた。 「しかし、もし貴方が私の小さな女の子であると思い出せないなら、ローズ嬢、 (たし)かに貴方は(ほか)(だれ)かの子供であると思い出せる。 もちろん、貴方は両親(りようしん)を覚えていますね?」

「はい。私は彼らをとても良く覚えています。特に私の父を。 彼は貴方とは(まつた)(ちが)います。エイフ゛ラム神父。 ああ、私はただ(しん)じたかつた。 さあ、行きましよう。貴方は十分(じゆうふ゛ん)(やす)んだ。 今夕(こんゆう)虹鱒(にじます)(およ)ぐ池を見せると約束(やくそく)しましたね。 虹鱒を見た事がないの。」

夕方(ゆうがた)、エイフ゛ラム神父は古い粉挽き所から一人出た。 彼は大抵(たいてい)そこに(すわ)つて、彼が道に(めん)した田舎屋(いなかや)で住んでいた過去(かこ)(かんが)えた。 時間(じかん)(ゆる)やかに(するど)い悲しみを消した。もはや過去の(おも)()苦痛(くつう)と共に(おも)()すことはなかつた。 しかし、エイフ゛ラム神父が物憂(ものう)げな9月の午後(ごご)に、ダムスが毎日(まいにち)黄色(きいろ)()()(とも)(はし)つていた場所(は゛しよ)(すわ)れは゛、レイクランドがいつも彼の(かお)に見る笑顔(えがお)()かつた。

粉挽き屋はゆつくり()がつた(けわ)しい道を(のほ゛)つた。 木々(きぎ)が道の(はし)まで()(しげ)り、彼は帽子(ほ゛うし)を手に木陰(こかげ)を歩いた。 リスが楽しそうに彼の右で古い線路(せんろ)(さく)の上を走つた。 うずらが小麦の()(かふ゛)(ひな)たちを呼んでいた。 低い太陽が西に開いた渓谷(けいこく)にたくさん(うす)黄金色(こがねいろ)(おく)つた。 9月の初め。あと数日(すうじつ)でアグレイアが()えた記念日(きねんひ゛)となる。

半分(はんふ゛ん)山蔓(やまづる)(おお)われた古い上射式の水車は木々を(とお)()けた(あたた)かい陽光(ようこう)一部(いちふ゛)()けた。 道に(めん)した田舎屋(いなかや)はまだ()つていた。しかし、間違(まちが)いなく今冬(こんとう)山風(やまかぜ)(まえ)(くず)れるだろう。 それは朝の薄暗(うすぐら)さと野生(やせい)瓢箪(ひようたん)(つる)(おお)われて、ドアは一つ蝶番(ちようつがい)()まつていた。

エイフ゛ラム神父が粉挽き所の(とひ゛ら)を押し開け、(おだ)やかに入つた。 そして、(しは゛ら)()()まつた。彼は(だれ)かが(ふか)(かな)しみから()いている(おと)()いた。 彼は暗い木のヘ゛ンチに座つて、手に開いた手紙を持ち、(こうへ゛)()れているチエスター嬢を見た。

エイフ゛ラム神父は彼女の(もと)へ行き、彼の強い手をしつかりと彼女に()いた。 彼女は見上(みあ)げ、やつと彼の名を言つて、(さら)(はな)そうとした。

「まだ、ローズ嬢。」粉挽き屋が親切(しんせつ)に言つた。 「まだ、話そうとしないで。 悲しい気持ちにあるとき、(すこ)()くより()()のあるものはない。」

(するど)い悲しみを経験(けいけん)した年老(としお)いた粉挽き屋が魔法使(まほうつか)いのように人から悲しみを(のぞ)いた。 チエスター嬢の(すす)()きが()()いた。 (いま)彼女は小さな(はし)(かざ)りのないハンカチを()ち、 彼女の目からエイフ゛ラム神父の大きな手に()ちた(なみだ)を1(てき)か2滴(ぬぐ)つた。 そして、彼女は(なみだ)ぐんだ目で見上げ、笑つた。 チエスター嬢はいつも涙が(かわ)かぬうちに笑える。 ちようどエイフ゛ラム神父が鋭い悲しみでも笑えるように。 そのように、二人はとても似ている。

粉挽き屋は何も質問(しつもん)しなかつた。 しかし、少しずつチエスター嬢が彼に話した。

それは若い者にとつて大きく重大(じゆうだい)で、年寄(としよ)りにとつて笑いを回想(かいそう)する古い話だつた。 予期(よき)される主題(しゆだい)は愛だつた。 とても良い正直(しようじき)な若い男がアトランタにいた。 彼はチエスター嬢の中にアトランタの(ほか)(ひと)にない性質(せいしつ)、あるいは、グリーンランドからハ゜タゴニアを (さが)しても見つからない性質を見出(みいだ)した。 彼女はエイフ゛ラム神父に彼女が泣いていた手紙(てがみ)を見せた。 それは(やさ)しい、(おも)最上級(さいじようきゆう)の、緊急(きんきゆう)の手紙で、良い正直(しようじき)若者(わかもの)が書くラフ゛レターの作法(さほう)に続いた。 彼はチエスター嬢にすぐ結婚(けつこん)するよう(もう)()んだ。 人生(じんせい)と彼は()へ゛た。なぜなら、彼は彼女の3週間滞在(たいざい)旅立(たひ゛だ)ちに()えられないと。 彼はすぐに返事(へんじ)()しいと懇願(こんがん)した。 そして、もし、それが良いものならは゛、狭軌(きようき)鉄道を無視(むし)しレイクランドへ飛んで行くと約束した。

「そして今、どこに問題がありますか?」手紙を読んだ粉挽き屋が質問した。

「彼と結婚できません。」チエスター嬢が言つた。

「彼と結婚したいですか?」エイフ゛ラム神父が(たず)ねた。

「ああ、私は彼を愛しています。」彼女が答えた。「しかし」 頭を()れて(ふたた)ひ゛すすり泣いた。

「おいで、ローズ嬢。」粉挽き屋が言つた。 「貴方は私を信じられる。私は貴方に質問しないが、貴方が私を信頼(しんらい)できると思つています。」

「信じております。」女の子は言つた。 「なぜ私がラルフを拒絶(きよぜつ)すへ゛きか(おし)えます。私は(だれ)でもない。私は名前さえ持たない。 自分の名前は(うそ)です。ラルフは高貴(こうき)な人です。私は全霊(ぜんれい)で彼を愛していますが、私は彼と結婚できません。」

「なんだ、こんなことですか?」エイフ゛ラム神父が言つた。 「貴方は両親を覚えていると言つた。なぜ名前が無いとおつしやる?分かりません。」

「私は彼らを覚えています。」チエスター嬢が言つた。 「十分覚えています。私の初めの回想(かいそう)は私たちの人生で遠い南の方でした。 私たちは何度(なんど)(ちが)う町と(しゆう)(うつ)りました。私は綿(わた)()みました。そして、工場(こうじよう)(はたら)きました。 大抵(たいてい)十分(じゆうふ゛ん)な食へ゛物と服がなく(そだ)ちました。 私の母は時々(ときどき)、私に良くしてくれました。 私の父は(つね)残酷(ざんこく)で私を打ちました。 彼らは(なま)(もの)不和(ふわ)でした。」

「ある夜、私たちがアトランタ付近(ふきん)で川のある小さな町で住んでいたとき、彼らが大きく(くち)げんかしました。 そのとき、彼らが(たが)いに虐待(ぎやくたい)(おこ)らせる事を知りました。 ああ、エイフ゛ラム神父。私は存在(そんざい)する権利(けんり)さえないことを知りました。理解(りかい)できますか? 私は名前さえ持てなかつた。私は誰でもないのです。」

「私はその(は゛ん)()げました。私はアトランタまで歩いて、仕事(しごと)を見つけました。 私は自身(じしん)にローズ・チエスターという名前を付けました。以降(いこう)自分(じふ゛ん)(ちから)(かせ)いできました。 今あなたは私がなぜラルフと結婚できないか、お分かりですね? ああ、私は彼に理由(りゆう)さえ()げられない。」

どんな同調(どうちよう)より、(あわ)れみより、彼女の問題(もんだい)にエイフ゛ラム神父が(けな)したことは良かつた。

「なぜ、どうか、どうか。それだけですか?」彼が言つた。「ふん。私は違う話と思いました。 もし、この若い男が完璧(かんへ゜き)なら貴方の家系図(かけいず)途切(とぎ)れていることを気にしない。 親愛(しんあい)なるローズ嬢、私の言葉を聞いて下さい。彼が気に()けている人は貴方です。 気軽(きがる)に彼に教えなさい、私に教えたように。 そして、彼があなたの話を笑つて、それが(ため)にもつと貴方を思うようになると受けあいます。」

「私は決して彼に教えないでしよう。」チエスター嬢が悲しげに言つた。 「そして、私は彼や彼以外の誰とも結婚しないでしよう。私に権利がない。」

しかし、彼らは(かがや)きを()した道を(ただよ)う長い(かげ)を見た。 そして、片方(かたほう)(みじか)かつた。 そして、今、奇妙(きみよう)な影が二つ教会に(ちか)づいた。 長い影は練習(れんしゆう)(おとず)れたオルガン()きのフイーヒ゛ー・サマーズ嬢だつた。 12(さい)のトミー・テイーグが短い影に対応(たいおう)した。 トミーがフイーヒ゛ー嬢の(ため)にオルガンのホ゜ンフ゜を()む日だつた。 そして、彼の裸足(はだし)のつま先は(ほこ)らしげに道の(ほこり)拒絶(きよぜつ)していた。(訳注:ひ゜よんひ゜よんと()ねた)

ライラツクをあしらつた更紗(さらさ)ドレスのフイーヒ゛ー嬢は、両方(りようほう)の耳を(おお)(ととの)つた小さな巻き毛で、 礼儀(れいぎ)(ただ)しくエイフ゛ラム神父に(れい)をし、彼女の巻き毛を儀礼的(ぎれいてき)にチエスター嬢に()らした。 そして、彼女と助手(じよしゆ)(けわ)しい階段(かいだん)(のほ゛)り、オルガン(だい)へ行つた。

影が(あつ)まつていて、エイフ゛ラム神父とチエスター嬢が(たたず)んでいた。 彼らは(だま)つていた。そして、多分(たふ゛ん)、彼らの思い出を思い出すのに(いそが)しかつた。 チエスター嬢は座つていて、頭を彼女の手に乗せていて、目は遠くに固定(こてい)していた。 エイフ゛ラム神父は木のヘ゛ンチの(となり)で立つて、思慮(しりよ)(ふ゛か)げに(とひ゛ら)の外、道、そして(すた)れた田舎屋を見ていた。

突然(とつぜん)、彼の光景(こうけい)数十年前(すうじゆうねんまえ)過去(かこ)変換(へんかん)された。 トミーがホ゜ンフ゜を踏み、フイーヒ゛ー嬢がオルガンの低音(ていおん)キーを(たた)き、 ()まつた空気の(りよう)(はか)(ため)()らし(つづ)けた。 エイフ゛ラム神父が(かんが)えるに、教会は()えた。 (ふか)徐々(じよじよ)に大きくなる振動(しんどう)が小さな骨組(ほねぐ)みに衝撃(しようげき)(あた)え、建物(たてもの)にオルガンの音はしなかつたが、 粉挽(こなひ)()の音がした。(たし)かに彼は古い上射式の水車が(まわ)つていると思つた。 つまり、彼はもう一度、(ほこり)()う古い山の粉挽き所で幸せな粉挽き屋に(もど)つた。 そして、今や午後(ごご)(おとず)れた。 そして、すぐに、(いろど)りのある服を着て、道をヨチヨチ(わた)つて、アグレイアが来て、 彼を食事(しよくじ)に家へ連れて行くはずだつた。 エイフ゛ラム神父の目は田舎屋の(こわ)れた(とひ゛ら)固定(こてい)した。

そして、奇跡(きせき)がもう一つ()こつた。 聴衆席の上で、長い(はり)に小麦粉の(ふくろ)(たくわ)えられた。 (おそ)らく、(ねずみ)がそれらを一つかじつたのだろう。 とにかく、深いオルガンの音が一杯(いつは゜い)、聴衆席の(ゆか)(やふ゛)つて、隙間(すきま)から小麦の雨を()らせ、 エイフ゛ラム神父を頭から足まで白い(ちり)(おお)つた。 そして、年老(としお)いた粉挽き屋が教壇(きようだん)まで歩き、(うで)()りながら粉挽き屋の歌を歌い始めた。

「水車が回る。
麦粉が落ちる。
粉に(まみ)れて、粉挽き屋は幸せだ。」

そして、(のこ)りの奇跡が起こつた。 チエスター嬢が木のヘ゛ンチから前へ(あゆ)み、小麦粉のように青い顔で、目を広く開け、 (ゆめ)の中を(ある)いているようなエイフ゛ラム神父を見つめた。 彼が歌い始めたとき、彼女は彼に(うで)()は゛した。 彼女の(くちひ゛る)(うご)いた。 彼女は彼を夢のような調子でこう()んだ。「父ちやん。ダムスをお家に連れてつて!」

フイーヒ゛ー嬢がオルガンの低いキーを(はな)した。 しかし、彼女の仕事は十分(じゆうふ゛ん)だつた。 彼女が打つた音は()ざされた記憶(きおく)(とひ゛ら)(こわ)した。 そして、エイフ゛ラム神父は彼の(うしな)つたアグレイアを腕できつく()いた。

レイクランドを(おとず)れれは゛、彼らがこの話を(くわ)しく(おし)えるだろう。 彼らは話の(すじ)(のち)にどのように辿(たど)つたか、そして、 明らかになつた粉挽き屋の娘の歴史(れきし)(子供らしく愛らしい(ゆえ)、 ジフ゜シーが9月のあの日、彼女をさらつた)を教えるだろう。 しかし、貴方は影になつた鷲の家の玄関(げんかん)心地(ここち)よく座るまで()つへ゛き。 そして、落ち着いて話の続きを聞ける。 フイーヒ゛ー嬢の深い低音の音がまだ(やわ)らかに()(かえ)している(うち)に、 我々(われわれ)の話をここで()わらせるのが一番であろう。

そして、私の心に、長い黄昏(たそがれ)にエイフ゛ラム神父と彼の娘が鷲の家へ歩きながら起こつたことの 最も良い部分(ふ゛ふ゛ん)(よろこ)んで話そう。

「お父さん。」彼女が幾分(いくふ゛ん)弱気(よわき)(うたが)つて言つた。「たくさんお金をお持ちですね?」

「たくさん?」粉挽き屋が言つた。「うむ。場合による。月や月に同じぐらい高い物を買うのでなけれは゛、たくさんだろう。」

「それはとてもとても高いですね。」いつも注意深く10セントを(かぞ)えるアグレイアが(たず)ねた。
電報(でんほ゜う)をアトランタへ()つのは。」

「ああ。」エイフ゛ラム神父が小さな()め息をついて言つた。 「分かつた。ラルフに来るよう(たの)みたいのじやな?」

アグレイアは彼を微笑(ひ゛しよう)しながら見上(みあ)げた。

「私は彼に()つよう頼みたいの。」彼女が言つた。「私はやつと父を見つけたから、(しは゛ら)く二人でいたいの。私は彼に待つてと言いたいの。」

終わり。